最近、クリス・ライアンさんという方が書かれた小説シリーズを読み終えたので、それについてだらだら書いていきます。
とりあえずタイトルだけ羅列してみるとこんな具合です。
- 襲撃待機
- 弾道衝撃
- 偽装殲滅
- 孤立突破
で、このシリーズの主人公がジョーディ・シャープという人物です。
そしてジョーディはSASというイギリスの特殊部隊の隊員という設定です。
ジョーディが過去に起きた事件について回想しながら語っていく、という形式でストーリーが進みます。
内容について物凄く乱暴に要約するなら、ジョーディ、そしてその他のSASの隊員たちがいろいろな危なっかしい連中と戦う小説です。
血みどろで死屍累々な内容なので、とても万人におすすめできるようなものではありません。
とは言っても、この著者にしては比較的マイルドな死屍累々であったと付け加えておきます。
「マイルドな死屍累々」というめちょめちょなワードが出てきましたが、基本的にこの著者の作風は徹底的にえぐいのです。
人間がばしばし痛めつけられるし、どんどこ死にます。
この著者の作品はこのジョーディ・シャープのシリーズのほかにもいろいろ読んでるんですが、特にダニー・ブラックが主人公を務めるシリーズの3作目である『神火の戦場』という作品は相当なものでした。
詳細は伏せますが、こっちはマイルドじゃない方の死屍累々でございました。
生物兵器やら拷問やらで、げちょんげちょんのぶわぶわになっております。
とても私の口から説明できるものではございません。
というのも、著者自身が元SAS隊員というのもあってか描写に情け容赦が一切ないのです。
またついでに言いますならば、ストーリーも重くてえぐいのが多めなので精神的に余力のあるとき読むのがおすすめです。
そういえば、前に読んだ『孤高のSAS戦士』も本当に重かったのです。
『孤高のSAS戦士』は、元SASの主人公がふとしたきっかけでイスラエルの諜報機関モサドの殺し屋に狙われることになって、やんややんやの大事件に巻き込まれるお話だったと思うのですが(結構昔に読んだので詳細は忘れました)、人が次々に無残に殺されていって救いのない陰惨な内容でしたので精神的に少々体力のいるお話でした。
しかしながらそういう意味では、このシリーズは比較的さくっと読めて読後感もそれなりという印象です。
あくまでも、"比較的"でございますので誤解なきよう。
さて前置きが長くなりました、早速1作目の『襲撃待機』から書いていきましょうか。
PIRAと呼ばれる連中とジョーディが戦うお話です。
このPIRAという組織のある人物が起こしたテロによってジョーディは妻を失ってしまうのですが、そんなジョーディの復讐劇が描かれております。
そしてある作戦の最中、運よく目の前にそのターゲットが現れたりもするのですが、上官の命令で手出しができなかったりして、なかなかジョーディの復讐は果たされません。
ジョーディはSAS隊員という立場もあり、個人的な復讐なんてもってのほか。
そんな私情と軍務の間に板挟みのジョーディが頑張るのです。
頑張れジョーディ。
ちなみに、原題は『STAND BY, STAND BY』でして、原題も邦題も実にうまいこと名前が付いているなあと感心した次第であります。
さあ、どんどん行きましょう。
お次は『弾道衝撃』でございます。
今度もまた敵はPIRAです。
『弾道衝撃』ではなんと、ジョーディの息子と恋人が拉致されてしまうのです。
今回はさらわれた息子と恋人と救い出すためにジョーディが頑張ります。
さて、これの原題は『ZERO OPTION』でして、邦訳するならば「選択肢がない」みたいな感じでございます。
内容もまさにその通りで、PIRAは人質を盾にジョーディに対して無茶苦茶な要求をあれやこれやとしてきます。
一方、人質を取られているジョーディにはそれに従う以外に選択肢がないわけです。
しかしながら、そんな状況下でもジョーディは人質を奪還すべく、敵の裏をかくような手を打つのです。
ミスをひとつでもしようものなら人質の命が危ない、命綱なしの綱渡りのような作戦です。
そんな危険な作戦にジョーディは挑むのです。
果たして、人質を無事に奪還できるのか?
非常にスリリングな内容でございました。
ちなみに、邦題『弾道衝撃』とは原題『ZERO OPTION』にかなり内容に乖離がございますが、邦題は邦題でなかなかうまく内容を表現しているんですよねえ。
ここはあえて、何が、とは言いませんが。
続いて3作目は『偽装殲滅』。
今までの作品とは打って変わって、今作では主な舞台がイギリスから海外に移ります。
今作の舞台はロシア。
ジョーディを始めとするSAS隊員は、マフィアと戦うロシア軍の訓練のためにロシアへと赴きます。
しかしその裏では、ロシア国内に核兵器を2つ仕掛けるという密命を帯びるのです。
ロシア人たちと親交を深める一方、彼らの国を滅ぼしかねない核兵器をこっそりと仕掛ける。
これが邦題が『偽装殲滅』たるゆえんですねえ。
また、原題は『THE KREMLIN DEVICE』であり、隊員たちからクレムリンと呼ばれるSAS連隊本部とロシア政府のクレムリンを掛けているわけです。
また、DEVICEには爆弾という意味もあるそうで、実に味のあるタイトルです。
そして良心の呵責に苛まれつつも、ジョーディたちは黙々と任務を遂行していきます。
と、そんな中、ロシアのマフィアに核兵器のひとつを護送していた隊員もろとも奪われてしまうのです。
これはもうさあ大変ということでして、そこからがいよいよ面白いのです。
核兵器の行方は?
拉致られた隊員たちの命は?
そして、核兵器の存在をロシアに知られずに奪還できるか?
様々な疑問が尽きませんが、その答えを知りたい方はぜひ読んでいただければ、と思います。
そして遂にいよいよ4作目、『孤立突破』です。
今回の舞台はアフリカ。
アフリカのとある国で、ジョーディたちは反政府軍と戦う政府軍の訓練をします。
なんとなく前作『偽装殲滅』と似ている展開のような気がしないでもありませんが、今回は核兵器を仕掛ける任務はございません。
ただの訓練任務です。
しかしながら、単純な任務かと思いきやそこで出会った呪医に「10人の白人が死ぬ」という不吉な予言をされてしまうのです。
そして始めは一笑に付して予言を一顧だにしないジョーディたちですが、次々と死んでいく白人たちの死に、いよいよあの呪医の予言は現実味を帯びてくるのです。
それはさておき原題は『TENTH MAN DOWN』、つまり「10番目の男の死」みたいな意味でございます。
あの呪医の予言と繋がってきましたねえ。
さあ、ジョーディたちは一体どうなるのでしょうか?
というわけでして、本作は少々オカルトの風味も加わっており、シリーズの過去作とは一風変わった味わいがありました。
さて一方、邦題はご存じの通り『孤立突破』。
原題からはまったくかけ離れているのですが、この邦題もあながち間違いではないのです。
やんややんやとあった挙句、味方だったはずの政府軍とも敵対し、ジョーディたちはアフリカの地で孤立してしまうのです。
まさに四面楚歌。
で、この政府軍に裏切られた理由というのが、詳細は伏せますが、なんともなあと思わせてくれるのです。
人間というものは罪な生き物ですねえ。
というわけでして、絶体絶命の窮地と不吉な呪医の予言、そんな地獄の中で戦うジョーディたちの様子が描かれております。
果たして、孤立無援のジョーディたちは生きて帰ることができるのか?
シリーズの締めを飾るにふさわしい大作でございました。
という具合でございます。
ストーリーも分かりやすくてアクションの部分も適度な激しさでしたので、上でも書きました通り読みやすかったです。
刺激をお求めの方は読んでみてはいかがでしょうか。
きっと楽しめるはず。
おしまい。