【小説】『コブラ』無慈悲な毒蛇でございます

前に『アヴェンジャー』という小説を読みましたが、今回はその続編である『コブラ』という小説について書きます。

コブラ 上 (角川文庫)

コブラ 上 (角川文庫)

 

もちろん、著者は同じくフレデリック・フォーサイスさんでございます。

さて、「続編」と書きましたが、時系列的には『アヴェンジャー』の約10年後くらいで、あとは登場人物が一部共通しているといった感じでございます。

で、その共通する登場人物についてですが、一人はアヴェンジャーその人でございます。

今回も引き続きあのアヴェンジャーが活躍するのです。

そしてもう一人が、前作『アヴェンジャー』ではアヴェンジャーをある事情から付け狙っていたポール・デヴローという人物なのでして、そのポール・デヴローが今回は主役の座に就くのです。

またポール・デヴローのCIAでの異名が「コブラ」でありまして、彼は敵に対してあまりにも無慈悲すぎたためにCIAを放り出されたという恐るべき人物でございます。

そして、この物語はある出来事からコカイン産業の壊滅を心に誓った当時の大統領がコブラカルテルの殲滅を依頼するところから始まるのです。

そしてそのコブラがかつての標的アヴェンジャーを仲間に引き込んで、共にコカイン産業の壊滅に乗り出すのでございます。

コカイン産業の壊滅を目指すコブラはコロンビアの麻薬カルテルを標的にし、無慈悲な方法で追い詰めるのですが、これがまあなかなか壮絶な方法で豪快にやるのです。

まず手始めにコブラは大統領にある要求を突きつけるのですが、そこからもう既に極めて無慈悲なことが起こりそうな予感を感じるのです。

コカイン密輸を通常の刑事犯罪から国家に対する脅威カテゴリーに移し、輸入及びその未遂をテロ行為と認定すること。

これがその要求なのですが、つまり敵をテロリストと認定することで通常の刑事事件では取れないようなとんでもない手段が取れるようになる、ということなのでございます。

これを皮切りに、極め付きに悪辣な手段をもってしてカルテルとの戦いが始まるわけです。

もはやどっちが悪者か分からん、みたいな感じの極悪非道な方法すら取るのでございます。

その具体的な方法はここでは伏せますが、そんなこんなで数々の狡猾な方法を駆使して着々とカルテルを追い詰めていくのです。

獲物を狙う狡猾な毒蛇の手腕に舌を巻かずにはいられない、そんな小説でございました。

また、読み進めるうちにこのコカインを巡る戦争がどのような帰結を迎えるのか気になってきたのですが、それについては、最後まで壮絶な内容でした、とだけ伝えておきます。

おしまい。

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