撃滅でございます

今日は昨日のお話の続きを書きましょう。

先の木曜の夜、我が家はゴキブリの侵略を受たのですが、即座に応戦したまでは良かったものの、その後敵を見失ってしまったのでございます。

これにより、戦闘は次の段階へと突入いたしました。

敵の殲滅を確認するまでは安眠は決してありません。

故に、私は我が家の平和を確たるものにすべく、夜を徹する覚悟でこの戦いに挑みました。

お次は索敵と殲滅でございます。

とは言え、何はともあれまずは装備を整えねばなりませんでして、マスクとサングラスによって殺虫スプレーによる自爆を防ぎつつ、併せて格闘戦にもつれ込んだ場合に備えてゴム手袋も着用いたしました。

これで準備万端でございます。

というわけでして、再び戦線復帰した私は最後に敵を発見した箇所を中心に、動かせる家具は全部動かした上で索敵に全力を傾注いたしました。

そして索敵開始後20分ほど経った頃、部屋の端っこに敵を発見いたしました。

そこですかさず殺虫スプレーを噴射しましたが、敵はカーテンの影を利用して再び姿をくらませてしまったのでございます。

ともあれ、そうして再び1時間ほど探したとき、またもやチャンスは訪れました。

さすがにもう別の部屋に逃げられたかと思いつつ、捜索の過程でひっくり返されたマットレスを元に戻そうと動かしたまさにその時、マットレスの陰からヤツが現れたのでございます。

すかさず殺虫スプレーを手に取った私は、一気にぶっ放しました。

敵が部屋の端っこの壁際に逃げていくようスプレーで攻撃し、遂に敵を部屋の角に追い詰めることに成功した私は、ここぞとばかりにトリガーを全力で引き絞り、勝負に出ました。

ここで脳裏に浮かぶのは、ハスハーゲン艦長のあの言葉でございます。

戦争とは生命を賭したゲームである。ここぞという瞬間にカードを切らない者は痛い目にあう。一瞬の躊躇が敵を利することになるのだ。

引用:「Uボート、西へ! 1914年から1918年までのわが対英哨戒」

果たして、敵の動きは徐々に弱くなり、遂にはまったく動かなくなったのでございます。

とは言え、これは敵の仕掛けた罠かもしれません。

しかしながら、死んだふりなどという古典的な方法に騙されるような私ではございませんからして、動かなくなった敵に対しさらに数秒ほどスプレーを吹き付けたのでございます。

そしてもう微動だにしなくなった敵にノズルを突き付け待つこと1,2分、確実に敵を撃滅したことを確認した私は、おもむろに窓を開け放ち、そのまま敵の死骸を投げ捨てました。

雨の降りしきる闇の中に、放物線を描いて吹っ飛んでいきましたよ。

いやはや、壮絶な戦いでございました。

というわけで私は遂にこの戦闘に終止符を打ち、安らかな眠りについたというわけでございますよ。

我が家の安寧を脅かすいかなる敵も、最終的にはその命を以て償うことになるのでございます。

おしまい。