『トップガン マーヴェリック』キャラクターについて語ります

※この記事は本当にもう好き勝手やりたい放題書いておりますので、ネタバレが嫌な人は読まない方がおすすめでございます。

 

まあたこいつは「トップガン マーヴェリック」の感想を書くのかと思っている読者の方がほとんどかとは思いますが、その通り、まあたこいつは「トップガン マーヴェリック」の感想を書くのでございます。

そうなってしまったものは仕方がありません。

もうこの映画は物凄いんですよ、何度観ても物凄く物凄いのでございます。

実はもう今回ので数えてみたら4回目の鑑賞なのでございますが、なんと昨日、たまたま隣の席にいたオッチャンも偶然にも4回目の鑑賞だったという話をして上映前に盛り上がったのは秘密でございます。

聞くところによりますと、そのオッチャンはまさに前作「トップガン」の世代らしく、今回の続編についてえらく興奮して語ってくれました。

上映期間が終わったらもう映画館では楽しめなくなるということで何度も観に来ているということでしたが、それは私も同じような意見でございましたよ。

やっぱり自宅のモニターで観るのと映画館のどでかいスクリーンで爆音に包まれながら観るのとでは、月とすっぽんぽん以上の差があるのでございます。

ともあれいろいろお話した結果、結局のところ良いものは何度観ても良いという結論に至ったところでちょうど上映が始まりました。

さて話がちょいと脱線しましたが、4回目ともなるとストーリーのこの先の展開とか大体分かってきまして、しかしだからこそ逆に落ち着いて楽しめるようになったという面もあるのでございます。

そういった落ち着いた視線で観るといろいろ気づくことがございまして、そのひとつが登場人物の表情でございます。

登場人物がここぞというときに見せる、それはもう味わい深い表情があるのでございますよ。

まずは何と言ってもマーヴェリックがトップガンに呼び戻されたシーン、そこで滑走路脇で離陸する戦闘機と並走してバイクをぶっ飛ばすのですが、そのときの表情がとても良い。

「俺はトップガンに戻ってきたぞ」という喜びが溢れんばかりの笑顔が実に素晴らしいのでございます。

30数年ぶりの続編ということで、マーヴェリックを演じるトム・クルーズも再び映画としてのトップガンに戻ってきたわけでして、キャラクターと役者が2つの意味でトップガンに戻ってきたという感慨深い思いにさせられましたねえ。

また、マーヴェリックがトップガンに戻ってきて訓練生と顔合わせする前日、近所のバーで手持ちがないから支払いをツケにしようとしたマーヴェリックがつまみ出されるシーンがあるのですが、そのときつまみ出す役を買って出たのが、実はそのつまみ出す相手が自分たちの教官だとは知らない訓練生たちなのでございます。

で、翌日、さあいよいよ訓練が始まるぞ、というところで作戦の責任者の将軍に紹介されて教官が現れるのですが、そのシーンが最高なのでございますよ。

登場したマーヴェリック教官が訓練生一同に「おはよう」と含みのある笑顔でさわやかに挨拶するのでございますが、訓練生たちがそれに意味ありげな笑顔で応えるところが実に面白い。

仲間内だけでとっておきの秘密を共有するときのような、そんな感じでございました。

特にこのシーンで顔がアップで映る、訓練生のハングマンとペイバックの表情は見物でございますよ。

さてそういった面白いシーンはまだまだありまして、訓練終盤でマーヴェリックが掟破りのとんでもない偉業を成し遂げてサイクロンというコールサインの将軍の面目をぶっ潰してしまうのですが、その偉業を目撃したサイクロン将軍の表情が実に素晴らしくてですね、「あの野郎、とんでもないことしてくれたな」という悔しさと誇らしさと賞賛がないまぜになったような表情が実に印象的なのでございます。

あとはこのシーンを忘れちゃいけない、アイスマンとマーヴェリックが再開するシーンでございますが、やはりこのシーンは前作からの繋がりのある2人が織り成す場面というわけでして、間違いなく本作のハイライトとなるようなシーンでございました。

前作ではライバルとして張り合っているのが印象的な2人でしたが、今回は古くからの親友同士の温かみのあるシーンが展開されるのでございます。

マーヴェリックが悩みを打ち明け、アイスマンがそれに応える、あのときの重苦しいマーヴェリックとそれをしっかと受け止めようとするアイスマンの様子からは、2人の信頼関係がひしひしと伝わってきました。

前作との今作との間にもきっと2人にはいろいろあったのでしょうねえ、と様々な思いを抱いてしまうようなシーンでしたよ。

そして別れ際にアイスマンが見せる、かつてのあの自信満々で挑むような表情と、それに合わせてマーヴェリックに放った言葉がまた良いんですよねえ。

まさに、これぞライバル、って感じでございました。

それと、このシーンでは、アイスマンは病に侵されているせいでほとんどのせりふを筆談で話すのでございますが、実際にアイスマンを演じたヴァル・キルマー自身も病気によって言葉を発することが難しい状態になってしまっているらしいのでございますよ。

しかしそれでも人工知能の助けを借りてほんの一部のせりふだけは、文字ではなく声で伝えたというのが、なんとも凄いところではございます。

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それにしても、そんなテクノロジーを使って発した言葉の一番最後があのせりふっていうのが、何とも味わい深いですねえ。

さて、アイスマン以外にも役者とキャラクターの織り成す物語が素敵な人物がおりまして、それは上でもちょいと名前が出たハングマンという人物とそれを演じたグレン・パウエルでございます。

実はこのグレン・パウエルという男、彼は始めルースターの役を演じたかったのらしいのでして、しかし結局はオーディションに落選して代わりにハングマンの役をオファーされたのでございますが、当初はまったく乗り気ではなかったらしいのでございますよ。

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しかしながら、やんややんやとあって結局のところはハングマンの役を引き受け、見事にその役を演じきっておりました。

彼無しにはハングマンというキャラクターは存在しえなかったでしょう。

さて、このハングマンというキャラクターは腕は立つ一方、極めて生意気な性格の実に嫌味な男なのでございますよ。

前作で言えば、マーヴェリックのように優秀で、アイスマンのように生意気と言ったところでしょうか。

そんな彼は、目前に控えた作戦の実行メンバーに自分が選ばれることを疑っていないわけでございましたが、いよいよ選抜の段階になって自分がバックアップメンバーになってしまったことを知らされるわけでございます。

そのとき彼がどれほど失望していたかは、あのシーンの彼の顔が雄弁に語っておりました。

しかしながら、結局のところ、物語の最後の最後で彼はやってのけるわけですよ。

マーヴェリックが絶体絶命のところを間一髪で救うのでございます。

当初は望んでいなかったバックアップメンバーの役割でしたが彼は見事にそれをやってのけ、それどころか一番最後のオイシイところをかっさらっていくわけですねえ。

この本来目指していたことはできなくなった一方で、代わりに与えられた役割をこれ以上ないほどやってのけるというのを、現実と映画の世界で役者とキャラクターがそれぞれに体現していたわけでして、これはもうなんというかなんといったら良いのでしょうかといったところでございますよ。

素晴らしい。

ハングマンはまさにグレン・パウエル自身だったのかもしれませんねえ。

ちなみに、そういうこともあって私ウサオジが一番お気に入りのキャラクターはハングマンなのは秘密でございます。

さて、そろそろ長くなってきたので最後はちょいと話の趣向変えて、もうひとつだけお話しておしまいにしようかと思いますよ。

今作でマーヴェリックが訓練するパイロットたちの一人にボブという男がおりまして、このボブという男、コールサインまで「ボブ」というなんとも味気の無い感じのするキャラクターなのでございます。

で、そんなボブを演じるのがルイス・プルマンという俳優でございまして、彼の父親もまた映画俳優なのでございます。

そして、その父親と言いますのが、ビル・プルマンでございます。

ja.wikipedia.org

もうここまで来たら勘の良い方はお気づきになったかもしれませんねえ。

さて、そんなビル・プルマンでございますが、彼は言わずと知れた名作SF映画「インデペンデンス・デイ」でアメリカ合衆国大統領を演じ、超カッコいい演説をぶちかましたこともまた有名でございます。

そしてその演説シーンのあとが問題なのでございますよ。

あの演説シーンの後、ビル・プルマン演じる大統領は他のパイロットたちと共に宇宙人に立ち向かうべく戦闘機に乗って挑むのでございますが、確か私の記憶によると、そのとき大統領が乗っていた戦闘機が、奇しくも「トップガン マーヴェリック」でボブが乗ったのと同じくF/A-18だったのでございます。

つまり、プルマン親子は親子そろって戦闘機パイロット、しかも同じF/A-18のパイロットを演じているというわけでございますよ。

この事実に気づいたとき、さすがの私も震えましたねえ。

ボブ、お前はとんでもねえやつでございます。

ちなみに、ボブは厳密には戦闘機の操縦を担当するパイロットではなく後席の兵器担当だったりもしますが、細かいことは言っちゃだめでございますよ。

細かいことばかり言っていると、F/A-18に乗ったプルマン親子に爆撃されるかもしれませんので言葉には気を付けましょう。

さて、他にも語りたいことはたくさんありますが、今日のところはこの辺にしておいてやりましょう。

なんというかもうここまで来るとお気に入りのシーン全部くっつけたら本編が出来上がりそうな気がしてきましたよ。

ともあれ、以上がオタクに特有の、聞いている相手にお構いなしに自分の趣味を延々と語ってしまうアレでございました。

おしまい。