『ブラックアダム』はすんごくアメリカンな熱気むんむん映画でございました

※全力でネタバレありでございます。

 

先日は『ブラックアダム』を観てきたわけですけれども、これが思いのほか超絶面白かったですよ。

上映中の9割くらいアクションシーンでしたからねえ。

あまりのパワフルさ加減に、鑑賞中は痛くなるほど拳を握りっぱなしでしたよ。

5000年の眠りから目覚めたブラックアダムがカーンダックという国を支配するちんぴらみたいな軍事組織の連中をスーパーパワーで蹴散らしだしたと思いきや、お次はJSAとかいうアメリカから来たヒーロー連中も加わってきて、なんやもうえらいこっちゃやないかいといったところでございました。

さて、まず序盤で面白いのはですねえ、なんと言っても「正義のヒーロー登場!」みたいな顔して現れたJSAの連中がカーンダック市民から大ブーイングを喰らうところでございます。

正義の味方がブーイングされるなんて滅多なことじゃありませんからねえ、これは見物ですよ。

市民から「お前、何してくれとんねん!」みたいに怒られてる。

カーンダック市民としては、ブラックアダムがムカつく独裁者の手先をぶちのめしているところに現れたのがJSAでございますからして、JSAが正義の味方だろうがなんだろうが邪魔者に違いはないのでございます。

しかも、JSAの目的はまさにブラックアダムの封印ですし。

というわけでして、続けざまに今度はブラックアダム対JSAの激闘が始まるわけですけれども、これがまあ物凄かった。

スーパーパワーと超能力が入り乱れて暴れ狂っておりました。

あの純然たる力の炸裂は、どこからどう見てもアメリカ的アメリカンアクション映画でしたよ!

観ていて清々しいくらいに大暴れでございました。

映画館のでっかいスクリーンで観てこそですねえ、あれは!

それともうひとつ面白かったのが、ブラックアダムを中心とした登場人物の面々とのやり取りですよ。

ブラックアダムを復活させた女性アドリアナの息子のアモン少年が筋金入りのヒーローオタクでして、そんな彼からブラックアダムはヒーローとはなんたるかを教わるわけですけれども、これがまた面白い。

なにはともあれヒーローには決めぜりふが必要だということで、ヒーローらしい決めぜりふを伝授されたりするんですよねえ。

それが、「地獄送りブラック参上」でございます。

それで当初ブラックアダムはそんなこと聞いていないように思えるんですけれども、その直後の敵をぶちのめすシーンでは、ちゃっかりその決めぜりふを言おうとするんですよ。

でも、結局せりふ噛んじゃう。

このちぐはぐな感じが面白かった。

それに、無表情なスーパーパワーを持った大男が少年に何かを教わるという構図が、どことなく『ターミネーター2』を髣髴とさせていたのも良かった。

「地獄で会おうぜ、ベイビー」ってやつですねえ。

とりあえず、決めぜりふには「地獄」を入れとけばオッケーでございますか?

ともあれ他には、いっつもドアを無視して壁をぶち壊して入ってくるもんだから、遂にはJSAのメンバーであるドクター・フェイトに「昔にはドアはなかったのか?」と皮肉られるのですけれども、それに対して「家の入口にあった」と大真面目に答えるところも漫才のような面白さがありましたよ。

そういえば結局、思い返してみれば、ブラックアダムは作中で一度もドアを開けていなかった気がしますねえ。

全部壁をぶち破って登場しておりました。

また、他のシーンでは、ブラックアダムが悪いやつ2人の首根っこをひっつかんで空中に連れ出して、「質問に答えた方は落とさない」と言っておいた挙句、案の定結局質問に答えた方も含め2人まとめて落とすわけですけれども、そのことを「これは皮肉だ」と言うところも面白かった。

それでドクター・フェイトに「それは皮肉ではなくウソだ」と一喝されるのも、実に漫才じみてて素晴らしい。

これがボケとツッコミってやつですねえ。

アクションだけでなく、笑いどころもきっちり抑えてくるところがこの作品の面白いところでしたよ。

そして何より、これはただ面白いだけでなく、熱気むんむんなんですよ、熱気むんむん!

ブラックアダムとJSAが小競り合いをしているうちに、ヒーローオタクのアモン少年が悪いやつにさらわれるわけでして、しまいにはその中の一番悪いやつにあわやアモンが撃ち殺されそうになってしまうのですけれども、そこでブラックアダムが全力でアモンを助けに行くところが言葉では言い尽くせないほどに熱気むんむんでした。

しかも、このシーンが初めて復活後のブラックアダムが無表情でなくなったシーンなんですよねえ。

今までは自分のために暴れ狂い、そしてどことなく機械を思わせる無表情だったブラックアダムが、初めて感情を露わにし、表情を歪め、あらん限りの力を振り絞って自分以外の誰かのためにそのスーパーパワーを行使する。

こんなの熱気むんむん以外ありえませんよ!

実はブラックアダムことテス・アダムは、5000年前にそのスーパーパワーを授かったとき、力を得る代わりに息子を亡くしてしまうんですよねえ。

本当はブラックアダムの息子フルートこそが魔術師に勇者として選ばれてスーパーパワーを授かるのですけれども、それを見た当時の悪の大王が、ならばその家族を殺してしまおうとブラックアダム夫妻を手に掛けるわけでございます。

それで妻は殺され、自分も瀕死というところにスーパーパワーを得て勇者となった息子フルートが現れ、そのスーパーパワーを自分から父に移すことによって父の命を救い、その代わりにスーパーパワーを失って普通の人となったフルートは、直後敵の射た矢に倒れるところとなったのでございます。

もうこの設定が熱気むんむん過ぎる。

この世のあらん限りの熱気むんむんを集めてる。

そんなこともあって、アモンを息子フルートに重ねたブラックアダムは全力でアモンを救いに行くわけでございますけれども、もうこんなの熱気むんむん以外に説明できる言葉が見つからない!

しかしながら、本作の熱気むんむんはそれだけにとどまらず。

さらに熱気むんむんが来るんですよ。

もはや熱気むんむんの津波!

アモンを救ったあと、やんややんやとあってブラックアダムは自ら封印されることを選び、その望みの通りJSAによって海中深くにある秘密基地にて封印されるわけですけれども、その後、さらなる敵が復活してしまうのですよ。

その敵はなんと、ブラックアダムの妻子を殺した悪の大王の末裔で、しかも悪魔の力を得て蘇った最強最悪の悪の化身サバック。

ブラックアダムなき今、JSAは一丸となってサバックと戦うわけですけれども、まったく歯が立たない。

それで、ドクター・フェイトは他のメンバーを超能力で締め出し、ただ一人サバックに決死の戦いを挑む一方で、テレパシーを使ってブラックアダムと交信し、封印されたブラックアダムを復活させるわけですよ。

序盤ではあんなに必死に封印しようとしていたブラックアダムを、今度は「もはやお前以外にあれを倒せる者はいない」と復活させる。

ここ、めっちゃくちゃに熱気むんむんですよ!

観ていて体中の熱気むんむんが吹き出るのを感じました!

それで再び目覚めたブラックアダム、いや今となっては力を失ったただのテス・アダムは秘密基地の警備の連中に棒で打たれ銃で撃たれつつも辛うじて基地を出て、海の中に。

息が苦しくなり薄れゆく意識の中、死んだはずの妻子と再会して大切なものを受け継ぎ、そして今一度この世界に復活するわけでございます。

あの呪文「シャザム」と共に。

そして「シャザム」の呪文によって再び力を得たブラックアダムは、悪の化身サバックと対峙する。

それでやんやとあってサバックを粉砕するのですけれども、そのときに出るのですよ、あの決めぜりふが!

地獄送りブラック参上!

もはやこれは説明不要の熱気むんむん!

というわけでございます。

そんなわけで、『ブラックアダム』は想像を絶する熱気むんむん映画でございました。

これを観ずして2022年の熱気むんむんは語れません。

まさかこれほどの傑作がまだ残っているとは。

2022年、なんとも恐ろしい年よ。

さて、長くなったのでこの辺でおしまいでございます。

とにかくもう言葉では語り尽くせないほど熱気むんむんでしたよ、これの上映が冬で良かった!

おしまい。