『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』クールな女性ドライバーと味わい深いオッサンたちでございます

昨晩は『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』を観てまいりました。

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初っ端から猛烈怒涛のカーアクションの連発でして、圧倒され通しでしたねえ。

唸るエンジン、軋むタイヤ、躍動するボディ、とてもスリリングでございました。

さて、内容といたしましては、超絶ドライビングテクニックを持つ女性チャン・ウナが、ある仕事を引き受けたことを皮切りに、とんでもない事件に巻き込まれてしまうという映画でございます。

その「ある仕事」とは、300億ウォンもの大金が入った貸金庫の鍵を事務所からパクってそのまま海外へ逃亡しようとする野球賭博ブローカーとその幼い息子を、港まで配達すること。

しかしながら、いざ現場に行ってみると待ち合わせの時間になっても依頼主のブローカーは姿を見せず、やってきたのは貸金庫の鍵を持ったブローカーの息子とそれを追う悪党連中のみ。

やむなく依頼主の息子キム・ソウォンだけを乗せて発進し、そのまま悪党どもを振り切るわけですけれども、依頼主のいない今、さあこれから一体どうしたものか。

というわけで、そこからいよいよ始まるわけですよ、悪党とウナの追走劇が。

しかもその悪党連中は実は表向きには警察でして、その上さらに国家情報院とかいう機関まで出てくる始末でして、もはや何が何だかとんでもない感じに入り乱れておりました。

さて、しかし本作が面白いのはカーアクションだけではありませんよ。

主人公ウナのキャラクターもなかなか良いんですねえ。

とんでもない運転技術を飄々とした表情でいとも簡単にやってのけるところが、とってもクールでございました。

あわや大惨事みたいな運転を次から次へと連発するくせして、その表情は「普通に運転してますけど何か?」みたいなすまし顔で、やってることと表情のその温度差が癖になる。

そして、そんなクールにすました表情で運転する一方で、実は飼い猫を溺愛しているという意外な一面があったりもするんですよねえ。

途中でソウォンがその飼い猫に「意地悪そう」とか何とかケチを付けたときなんかには、ムキになって言い返したりしていて、運転しているときとの落差が物凄い。

それとあとは、そのソウォンとの関係も見所でしたねえ。

最初は「ついてくるな」とソウォンを冷たくあしらうウナでしたけれども、次第に変化していく二人の関係が印象的でしたよ。

裏社会の運び屋と身寄りのない少年、一見したところ全く接点がないように思えるんですけれども、しかしそこには意外な共通点があったりするのでございました。

さてここらで、主人公以外にも、本作に登場するオッサンたちも味わい深くて面白かったということも言っておきましょう。

まず一人目は、ウナの所属する会社「ペッカン産業」の社長を務めるペク・カンチョルでございまして、これがまた癖が強い。

彼の登場シーンで一番好きなのは、ウナのビールを勝手に開けて飲んで、さらに特大のゲップをぶちかますところ。

「ああ、もうこのオッサン!」と叫びたくなるほどオッサンのオイニーがむんむんでした。

服装のよれよれ具合も手伝って、これほどビールが似合うオッサンもそうそういないでしょう。

しかし、このオッサンもさすがに怪しい商売を営んでいるとだけあって、仕事に関してはやはり有無を言わせない厳しい一面もあったりするですよねえ。

とは言え、分け前を増やせと迫るウナにはたじたじだったりもして、どこか憎めないオッサンなのでございます。

そんな感じで、いろいろな顔を見せてくれる素敵なオッサンでした。

さて、二人目は悪党のボス、チョ・ギョンピルでございますが、こいつもこいつでなかなかの食わせ者でして、表向きには警察として何気ない感じで振舞っているのですが、一方その裏では次から次へと悪行を繰り返すのですよ。

敵や裏切り者はもちろん、さらに手下であっても役立たずにはとことん徹底的に容赦がないという、まさに悪党のボスたるものかくあるべし、と言った感じでとことんまで悪党を貫く姿勢が非常に面白かったですねえ。

肝が据わった極悪非道のオッサン、それがチョ・ギョンピルでございます。

というわけでして、『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』は一癖も二癖もある魅力的なキャラクターたちが織り成す怒涛のカーアクション映画でございましたよ。

面白かった!

おしまい。