『エンドロールのつづき』映画を観ることへのラブレターでございます

昨日は『エンドロールのつづき』を観てまいりました。

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9歳の少年サマイが、映画に魅了される様子を描いた作品でございます。

ある日家族で映画を観に行ったことをきっかけに、映画に首ったけとなってしまったサマイ少年の、映画を巡る冒険の物語でございます。

これがですねえ、もうサマイの映画へののめり込み具合が物凄いんですよ!

「無茶」と言う言葉をまだ知らない少年特有の狂気じみた情熱全開で、なりふり構わずに映画に向かって驀進する、そんな映画でございました。

映画館へ行くために父の営むチャイ屋のレジからこっそりお金をパクって、そして学校をこっそり抜け出して映画館へ行くのはもちろん、お金がなくたって映画館へ忍び込んで勝手に観る。

しかし、もはやお約束とも言えるくらい必然的に、やっぱり映画館の従業員に無銭鑑賞がバレてつまみ出されるわけですけれども、そこで偶然の出会いをきっかけに、サマイの物語は大きく動き出すのですよ。

映画館からつまみ出されてふてくされるサマイの目の前に、何やら怪しいオジサンが話しかけてくるわけでございます。

その怪しいオジサンことファザルは、実はその映画館で働く映画技師でして、話の流れでサマイは母の作ったお弁当をファザルに渡すのですけれども、そのお弁当が滅法うまいということで、なんとサマイはファザルの粋な計らいで映写室からこっそりと映画を見せてもらえることに。

その後も母のお弁当を引き換えに何度も映画を映写室からこっそり鑑賞するわけですけれども、サマイの映画への情熱はますます燃え盛るばかりで、今度は近所の友達と協力してあれこれ試行錯誤した挙句、遂には映写機まで自作してしまう始末。

ここで思い出されるのは、とある小説の一節でございます。

「人間は何に対しても、全身全霊でわき目もふらぬ一途さで取り組まなくてはならない。そうでなければ何も実を結ばない」

引用:「帰ってきたヒトラー 上」

いやもう本当に、これが「全身全霊でわき目もふらぬ一途さ」というやつなんでしょうねえ!

すべてを投げ打って映画に向かっていく、そんな熱意がひしひしと感じられました。

そして、映写機を自作するだけでなく、さらには映画フィルムをパクって秘密の上映会まで企画してしまうのでして、サマイの映画への愛はもはや留まるところを知りません。

日本のチンピラは盗んだバイクで走り出すわけですけれども、インドのサマイは盗んだ映画を映し出すというわけですねえ。

さて、そんなわき目もふらず映画一直線のサマイでありますけれども、映画を作るという夢の前に大きな障害が立ちはだかってくるわけでして、その障害とはインドの片田舎にいたのでは映画作りを学べないということと、そもそも映画作りの夢を認めてくれない厳格な父。

さあ、サマイの夢は実を結ぶのか、それは観てのお楽しみといったところでございます。

ともあれ、この映画で描き出されるサマイの映画愛は物凄い熱量でございましたよ!

そういえば、『トップガン』は空を飛ぶことへのラブレターだと言われておりますけれども、それならば『エンドロールのつづき』は映画を映すことへのラブレターでしょう。

映画って面白いなあ、そんな気分にさせてくれる映画愛溢れる一作でございました。

さてところで、本作『エンドロールのつづき』は余程人気なのか、私が観に行ったときにはパンフレットが既に売り切れていて買い損ねてしまいましたよ。

今度また映画館に行ったときに買えると良いのですが。

とは言ったものの、その「今度」とは実は明日だったりするのでございます。

明後日に有給をとったおかげで明日は休日の前日ですから、明日はレイトショーで映画を観てきます。

さあ、私もサマイを見習って映画を観まくるとしましょう!

おしまい。