『バイオレント・ナイト』暴れん坊のサンタクロースでございます

昨晩は『バイオレント・ナイト』、観てきました。

ユーモアとバイオレンスに溢れたはちゃめちゃクリスマスコメディアクション映画でございまして、鑑賞中、劇場にたびたび笑い声が響いておりました。

良い子には見せられないくらいえぐいことをしていると思ったら、今度は唐突にコメディなシーンを挟んでくる、そして意外なところから人情味あふれる展開が顔を出す、そんな緩急のある展開に目が離せませんでした。

さて、この映画のあらすじといたしましては、厭世的な雰囲気漂う陰気な酔っ払いのサンタクロースが、子供にプレゼントを配るためにある豪邸に忍び込み、ついでに手近なところに置いてあった見るからにヴィンテージで高そうなお酒を勝手に飲んで、クッキーも勝手に食べ、ついでにマッサージチェアに揺られて気持ちよく酔っぱらってくつろいでいたら、なんとその豪邸に強盗が押し入ってきてしまい逃げられなくなり、成り行きで強盗と対決することになるという具合でございます。

もはやあらすじからして荒唐無稽なとんでもなさがありますけれども、正直に書き出してみたらこうなってしまったのですから仕方があるまい。

ともあれ、序盤のサンタは何と言っても酔っぱらっているもんですから、最初のアクションシーンなんてへべれけでぐだぐだ。

しかも手元にあるものと言えば、子供たちのプレゼントが出てくる魔法の袋と自身の肉体のみ。

しかしそれでもなんとかうまいこと敵をぶっ殺して、辛くも九死に一生を得るのでございますよ。

そしてそこからは、サンタクロースと強盗集団との血みどろの戦いが本格的に始まっていくというわけですねえ。

クリスマスのお楽しみの象徴である「サンタクロース」と不穏極まりない「ぶっ殺す」という単語、このまさかの二つの要素が仲良く同居しておりまして、サンタが悪い連中をぶっ殺す、今夜は暴力の嵐が吹きすさぶ『バイオレント・ナイト』でございます。

良い子にはお楽しみを、悪い子には死を運ぶ、それがサンタクロース。

雪降るホワイト・クリスマスと言うよりは、血しぶきの舞うレッド・クリスマスでございました。

ところで、作中でサンタは「悪い子に石炭を食らわす」と言っておりましたけれども、実際は悪い子に石炭を食らわすどころかことごとく惨殺しておりましたが、「石炭」って「死」を意味する暗号かなんかなんでしょうかねえ?

ともあれ、あらすじもとんでもなければこのサンタクロースの人物像からしてまたこれがえらく突拍子もないものでございまして、彼は誰もサンタの存在なんて信じなくなり拝金主義に堕落した物欲まみれのクリスマスに嫌気がさしてうんざりしているのでして、しかも実はかつては財宝を求めて邪魔者を皆殺しにしつつ暴れまわっていたヴァイキング。

一体どうして、なんでこうもサンタに物騒な設定を追加しまくるんでしょうか。

不穏な設定が山盛りでございます。

しかしそんなサンタが、豪邸にいたサンタを信じ不和の両親の和解を願う一人の女の子と出会い、クリスマス精神に目覚めていく復活の映画でもありました。

ただサンタクロースが悪い子に「石炭」を撒き散らすだけではないってところが、この映画の魅力でしたねえ。

そして、サンタがヴァイキングの力を覚醒させ、「脳天潰し」のハンマー片手に悪い子を根こそぎ文字通り「叩き潰して」いくシーンは圧巻でございました。

序盤の成り行き任せの酒臭いぐだぐだへれべけアクションとは大違い。

襲い来る強盗連中を次から次へと薙ぎ倒していく爽快アクションでございます。

というわけでして、2月にクリスマスの映画、こいつはあわてんぼうのサンタクロースならぬおくれんぼうのサンタクロースですねえと思いきや、もはや「まだクリスマスは終わらねえ!」と言わんばかりに暴れまわるクリスマス映画でして、むしろ暴れん坊のサンタクロースでございました。

悪い子にしていると、暴れん坊のサンタクロースに「石炭」を食らわされますよ。

気を付けましょう。

ともあれ、クリスマスあるところにサンタあり、でございます。

いくつになってもクリスマスの精神を忘れずにいきましょう。

メリークリスマス!

おしまい。