『湯道』お湯の映画でございます

昨日は月初で映画が安く観られることもあって、ちょうど良い時間の上映がありましたので、仕事から帰って支度を整えるなりその勢いで観に行ってきました。

『湯道』でございます。

yudo-movie.jp

さてこれは、お風呂にまつわる物語でございまして、「まるきん温泉」という名の銭湯を中心にした人間関係、お風呂との向き合い方を描いた作品でございます。

ある日、今は亡き父が残した「まるきん温泉」を営む弟の元へ、都会へ行った兄が突然帰ってきてマンションに建て替えようとすることからお話は始まりまして、そこから兄弟の間の確執や銭湯の常連さんたちを始めとする周囲の人々との人間関係が描かれ、どことなく緊張感が漂う一方でコミカルな面白さもあり、そして最後は心がお風呂に入ったかのように温かくなる、そんな肩の力を抜いてリラックスできる不思議な映画でした。

ある時は銭湯で他の人々と親交を深め、またある時は自宅のお風呂で一人物思いにふける、そしてまた別のある時は人々の前でお風呂に入り湯の道を説く時もある、そんなお風呂との向き合い方がいろいろあって、お風呂の可能性をひしひしと感じましたねえ。

作中では「『道』に終わりはない」というような言葉が出ておりましたが、まさに終わりがないからこそ可能性が無限大なのかもしれません。

またこれも作中で言われておりましたが、お風呂の正体って容器に入れたただの温かい水、つまりお湯なんですけれども、たったそれだけのものにも不思議な力が宿るんだなあとしみじみと思います。

そんな何の変哲もないものにも意味を見出せる人間って、なんか凄いですねえ。

というわけでして、『湯道』、これはお風呂を通じて人間という存在と向き合う、そんなコミカルで真摯な作品だったかと思います。

おしまい。