『シング・フォー・ミー、ライル』ウサオジという男と、歌うワニ

昨日今日と続けざまに観てまいりました、『シング・フォー・ミー、ライル』。

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字幕版も吹替え版も両方とも鑑賞しましたよ。

私といたしましては、どうも生身の人間に別の人間が声を吹き込むというのが妙に感じてしまうのと吹替え版は当たり外れが結構あるので、映画を吹替え版で観ることはほとんどないのですけれども、良かったですよ、吹替え版も。

もちろん字幕版も凄かったのですが、吹替え版が想像以上に出来が良くて素晴らしかったのでございます。

歌はもちろんですが、せりふもしっかりと作品に合っていて違和感がなく、字幕版と吹替え版のそれぞれが大いに楽しめました。

ともあれ、この映画は1人のショーマンと彼に見出された歌うワニ、そして彼らに偶然出会ってしまったとある家族の物語でございました。

売れないショーマンのヘクターは怪しげな雰囲気のペットショップで歌うワニ、ライルを見つけるや否や彼にショーマンとしての才能を見出し、早速ライルを舞台に上げて一発逆転の大勝負に出るわけですけれども、しかし大勢の観客を前に緊張し切ったライルはまったく歌うことができずショーは大失敗。

そのせいでヘクターは家を追われ、ライルは家に取り残されるわけですけれども、しばらく後、そこに両親と息子の3人家族のプリム一家が引越してくるわけでして、そこからあがり症の歌うワニといろいろと悩みを抱える3人家族、そして売れないショーマンとの物語が始まるわけでございます。

さて、これはミュージカル映画というわけでしたので、そこについて触れずにはいられないのですけれども、やっぱりミュージカル映画というだけあって歌と踊りに力が入っておりましたよ。

普通に言葉を話すことができないライルは歌を通して自分の思いを伝えていくわけですけれども、これには音楽という表現の奥深さに感じ入るばかりでございました。

特に、作中のいろいろなシーンで歌われる「Take A Look At Us Now」という曲があるのですけれども、同じ歌を歌っているにも関わらずそれぞれのシーンで全部歌い方が違い、印象も全く異なるものになっております。

同じ歌なのに、歌い方次第でこうも変わるのかと衝撃的でしたねえ。

他にも面白かったところと言えば、音楽を通して一人一人が自分と向き合っていくという物語の大きなテーマでございますよ。

ヘクターもプリム一家も、そしてライルも、それぞれが悩みや問題を抱えているわけですけれども、そういったものを歌と踊りでひとつひとつ乗り越えていく、というところが印象に残りました。

というわけでして、本作『シング・フォー・ミー、ライル』は音楽の可能性を見せてくれる作品でございました。

ミュージカル映画というジャンルの映画を観るのは多分これが初めてでしたが、こういうのも面白いですねえ。

おしまい。