ウサオジという男、『MEMORY メモリー』を観る

この前の月曜は観てきましたよ、『MEMORY メモリー』!

memory-movie.jp

休み明け初っ端の月曜からレイトショーという無謀極まりないスケジュールで鑑賞してきましたけれども、観に行って良かった。

やっぱりリーアム・ニーソンですよ、リーアム・ニーソン!

あんな重厚感のある男を演じられるのはリーアム・ニーソンくらいなもんでしょうねえ。

やはりリーアム・ニーソンの凄いところは、悲哀を背負ったプロフェッショナルの男を演じるところにあると思います。

眉間に皺を寄せたシリアスな表情で仕事を粛々とこなすところがよく似合うのでございます。

私にとってハードボイルドなダンディと言えば、リーアム・ニーソンをおいて他にはおりません。

とはいえしかしながら、そんなシリアスな中にもちらっと浮かべる親しみやすい笑顔なんかも印象的でして、紳士でダンディな大人の男たるものかくあるべしという感じがいたします。

さてところで、気づけば映画の感想というよりはほとんどリーアム・ニーソンの感想を書いていたような気もしますけれども、しかし本当にこの作品はリーアム・ニーソンのカッコいいところを煎じ詰めて凝縮したような映画でしたので、リーアム・ニーソンなしには感想を書くことができんのですよ。

70歳という、普通に考えたらアクション映画俳優の盛りはとうに過ぎてしまった年齢にも関わらず、それでもなおアクション映画に挑戦し続けるリーアム・ニーソンに脱帽でございます。

リーアム・ニーソンよりも激しくキレのあるアクションシーンを演じられる俳優はたくさんいるのかもしれませんが、リーアム・ニーソンよりもうまくハードボイルドな大人の男を演じられる俳優はそうはいるまい。

アクションについては、まだまだ迫力のあるアクションができるとは言え、『96時間』のようなまだリーアム・ニーソンがもう少し若かった頃と比べると多少は激しさがなくなっているような気がしますが、しかし年齢を重ねたことによって大人の男の貫禄に磨きがかかっているのでございまして、これはもはや年の取り方のひとつのお手本であると思いますよ。

アクション映画俳優リーアム・ニーソンは「年齢」を足枷にするどころか、むしろそれを武器にしておりますから、これはもう物凄いことでございます。

さてと、ここらでようやっと映画の内容に触れるとしましょう。

アルツハイマー病を発症し仕事に支障が出始めた主人公の殺し屋アレックスは引退を決意するものの、しかし裏社会の仕事の仲介人をしている友人に押し切られて遂には最後にひとつ仕事を請け負うことになってしまうわけですが、その仕事が自分の「子供は殺さない」という信念に背く少女殺しの仕事であると知ったアレックスは怒り心頭で契約を破棄するのでございます。

ところがアレックスがその契約を破棄した直後、別の者によってその少女は殺されるのでして、それを知ったアレックスは怒髪天を衝き、人身売買組織への復讐を決意するのでございますよ。

そしてアレックスは同じくその人身売買組織を追うFBIに追われる身となり、しかも相手の人身売買組織の長は金も権力も意のままにする大悪党でして、果たしてアレックスは無事に復讐を成し遂げられるのか、といった映画でございました。

それで本作のキャッチコピーが「信念、それは最強にして最後の武器。」でございまして、これがまたカッコいいわけですよ。

このキャッチコピーの通り、アレックスは誰かに頼まれたわけでもなく、やったところで何か報酬が得られるわけでもないのにただ信念を貫くために強大な人身売買組織に挑みかかるのでございます。

しかし一方でアルツハイマー病は着々とその身を蝕み続け、復讐の期限は刻一刻と迫る。

アレックスの最強にして最後の武器は果たして敵に一撃を食らわせることができるのか、それはもうぜひともご自分の目で確認していただきたいところですけれども、「信念」が人を突き動かす様がありありと描かれていた映画であるとだけは言っておきましょう。

病に戦う力を奪われつつある男の中に最後まで残った武器が一体なぜ最強の武器であったのか、このキャッチコピーの意味が分かったとき、心の内に熱気がむんむんしてきますよ。

一見すると「少女殺し」やら「復讐」やら「人身売買」やらと、やたらと陰惨なところが目立つ内容の映画ではありましたけれども、しかしリーアム・ニーソンの名演技が鋭い光を放つ、「陰惨」というだけにとどまらず感情を揺さぶってくるような物凄い映画でございました。

多少無理をしてでも観に行った価値がありましたよ。

たまにこういう映画に出くわすことがあるから、無謀なスケジュールでの映画鑑賞がやめられないんですよねえ。

おしまい。