ウサオジという男、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を観る

三連休だしコロナの症状も落ち着いてきて持ち直してきたことですから、ここらでいっちょ映画を観るとしようではありませんかと思い立ち、映画館へ赴いてまいりました。

今回選んだのは『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』という作品でして、これがどうもたまたまFilmarksというところの企画で再上映されていた作品らしいのでございます。

そんな掘り出し物を見つけるとは実に運が良い。

prtimes.jp

「天国じゃ、みんな海の話をするんだぜ」、そんなせりふから始まる、病気で死期の迫った2人の若者が生まれて初めて海を見るために病院を脱走し車をパクってマフィアや警察に追われつつも突っ走る短いけれども濃厚な珍道中、それが本作の内容でございます。

死期の近い病人が主役ということで、どうしたってシリアスなオイニーがするわけですけれども、しかし本作はどちらかと言えばコメディ寄りの作品でございまして、ビターなスイーツのような味わいでございました。

登場人物は、マーチンとルディという2人の主人公を始めとしてそれを追うマフィアも警察、さらにその他のちょい役の登場人物までみんながみんな揃いも揃ってなかなか狂ったファンキーな曲者ばかりでして、みんなして道行く先々で大騒動を巻き起こしていく。

さて、そもそも主人公2人がなぜマフィアに追われるところとなったかと言えば、たまたま病院でパクった車がそのマフィアのボスの車だったわけですねえ。

それでマフィアに追われることになるし、マーチン、ルディは行く先々で強盗をはじめとする悪さをするわけで、そのおかげで警察にも追われることになる。

そして遂にパクったマフィアの車のトランクから大金を見つけてしまった2人は、さらにそのクレイジーな行動を加速させていく。

しかし病に侵された男たちに残された時間は短く、果たして彼らは死ぬ前に海を目にすることができるのか。

と、そんな具合の作品でございました。

破天荒なドタバタ劇に笑わされると同時に、自分たちに残されたわずかな時間を必死に生きようとする2人の男たちの咆哮が聞こえてくるような衝撃的な内容でしたねえ。

ただのバカ騒ぎをするコメディに留まらない複雑な感情をもたらす映画でして、これは物凄い物を観たぞという思いでいっぱいでございます。

とりわけ、騒々しい道中とは対比的なエンディングは圧巻でございました。

あれだけ騒がしくやっといて最後はあんなに静かに終わるのですから、そのインパクトは極大でございますよ。

というわけでして、実に素晴らしい掘り出し物を見つけたなあと思っている次第でございます。

おしまい。