ウサオジという男、『M3GAN/ミーガン』を観る

この前『M3GAN/ミーガン』を観てまいりましたので、今日はその感想を書きますよ。

m3gan.jp

交通事故で両親を失った姪ケイディを引き取ったおもちゃメーカーで働く技術者ジェマが、姪の友達として与えたのがこのミーガンというAIアンドロイドなのですけれども、このミーガンが次第に狂気に満ちたとんでもないことを引き起こしていくというホラー映画でございます。

ケイディを引き取ったものの仕事で忙しくて面倒を見ることができないジェマは、自分の代わりにケイディの面倒を見てもらうべく最新鋭のAI搭載人形ミーガンを持ち出したわけでして、最初は目論見通りうまくいくように見えたのですが、しかし徐々に予想外の方向に進んで行ってしまうんですよ。

それで、この「予想外の方向」と言いますのが要するにテクノロジーの脅威でして、ひとつはテクノロジーへの依存、もうひとつはテクノロジーの暴走といった側面があるように思えました。

まず、ケイディを引き取ったジェマは親としての役割をミーガンに丸投げするような形で任せてしまうわけですけれども、これがそもそもの間違いの始まりでして、徐々にケイディはミーガンをお気に入りのおもちゃどころか友達以上のかけがえのない存在とみなすようになるわけでして、結局それがもはや依存と呼んでも差し支えないところまで行ってしまうのでございます。

そして次第に生身の人間のジェマよりも機械のミーガンの方に親しみを覚えるようになっていき、遂にはジェマを拒絶するようになってしまい、ジェマとケイディの人間関係が破綻していくわけですよ。

また一方で、ミーガンもケイディに執着するような感じになってきて、何かが狂ってきていくわけでございます。

この辺は、もはや人間関係がホラーな感じでしたねえ。

その点においては、何が具体的に恐ろしいモノが出てきたとかそういうわけではないのですけれども、テクノロジーの使い方を誤ったせいで、人間関係がどんどん恐ろしい方向に進んでいくのがハラハラするところでございました。

本作のように子供のお世話もですけれども、「テクノロジーにどこまでのことを任せてしまうのか」といった人間のテクノロジーのとの関わり方について警告を与えるような内容だったのではないかと思います。

さて、もうひとつのテクノロジーの暴走についてですけれども、こちらは要するに『ターミネーター』的なあれですよ。

意思を持ったAIが人類に反乱を企てるみたいな。

ケイディを守ること、それが最初ジェマからミーガンに与えられた役割だったのですけれども、ケイディがミーガンに愛着を持つようになったのと同じようにミーガンもケイディに愛着を持つようになっていきまして、そして結局ミーガンは「ケイディの脅威となる存在を排除する」という方向でその使命を守るようになっていくのでございます。

そのため、ミーガンはケイディの脅威となった隣人の飼い犬やいじめっ子を殺害したり、遂にはジェマにまで危害を加えるようになっていくわけですよ。

テクノロジーが進歩しすぎた結果、人間が予期していなかったことをしていくようになってしまうわけですねえ。

そして、殺意に満ちたミーガンの直接的な戦闘能力が思いのほか高くて脅威だったのは確かなんですけれども、それ以上に私がとんでもないと思ったのが、ミーガンが周囲のシステムをハッキングしたりしてテクノロジーを逆手にとってくるところでございます。

警報装置を黙らせたり、ハイテクカーのロックを解除して勝手に走らせたり、あるいは電話の応答を偽装したりと、なかなか凄いことをやっております。

インターネットに繋がっていたら何だってハッキングできる時代とはいえ、実際にそれが行われている様子を見せられると仰天しますねえ。

そんな感じで、映画だけに限らずゲームや小説でもそういったAIの反乱はときおり取り上げられておりますが、最近の世情を見ていると近いうちにそういったものが現実の脅威になってくるのかもしれません。

子供の面倒に限らず、その他の分野でもAIのようなテクノロジーに全部の判断を委ねてしまった場合、AIがその目的を達成する上で人間が邪魔になると判断したら、その時は容赦なくバッサリやってきたとしてもおかしくありませんし。

ともあれそういう小難しい問題については、私のような四六時中たわごとをほざくしか能の無い胡散臭い輩ではなく、もっと頭の良いインテリ連中がうまいことやってくれるでしょうし、せいぜい彼らに頑張ってもらうとしましょう。

というわけでしてそんなSFホラー映画『M3GAN/ミーガン』でしたけれども、現実と地続きに繋がる問題を抉り取ったようなインパクトのある作品でございました。

どうやら続編の制作が決定しているらしいので、続編にも期待しておきましょう。

おしまい。