ウサオジという男と、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観てまいりました。

いやあ、インディ・ジョーンズの名を冠するにふさわしい壮大なスケールのアクション映画でしたよ。

年老いた冒険家とナチスのトンデモ博士とカネに目がない泥棒女が三つ巴で戦う凄まじい映画でございました。

第二次世界大戦中にナチスが略奪した秘宝を分捕ろうとしたインディ・ジョーンズがナチスに捕まってしまうシーンから始まるのですが、もう初っ端からアクション全開でして、これは物凄い映画になるというオイニーがむんむんする始まりでした。

カーチェイスに加えて列車の上での格闘シーンなど、とにかくドキドキとハラハラが満載でございますよ。

それで初っ端から数々の危機一髪を潜り抜けたインディ・ジョーンズがナチスの博士をぶっ飛ばして手に入れたものが、アルキメデスが作ったとされる古代のダイヤル。

そう、これこそがタイトルの「運命のダイヤル」なのですけれども、このダイヤルを巡って冒険家、博士、泥棒が三つ巴の争いを起こすわけですよ。

そして時は巡って1969年、考古学教授を定年退職するところとなった冒険家インディ・ジョーンズは、ふとしたことから再びこのダイヤルに関わることになってしまうのでして、ここからがいよいよ本番なのでございます。

ダイヤルはしばらく会わないうちに泥棒に成り果ててしまった旧友の娘に奪われるわ、ナチスの残党を率いて再び戻ってきた因縁の博士に追われるわで、インディ・ジョーンズの最後の世界を股にかけた冒険が始まるんですねえ。

そして果ては時を越えてアルキメデスまで登場してしまうわけなのですけれども、まあこれについてはまた後程語りましょう。

さて、この映画の凄いところ、面白いところはいくつかありまして、とりあえずなにはともあれ主演のハリソン・フォードについて触れないわけにはいきません。

調べてみたところ、ハリソン・フォードは今80歳らしいのでして、そんな年でまだアクション映画の主演をやるとは、これはとんでもないことだと思わざるを得ません。

もちろんそれ相応にスタントマンやCGを使って誤魔化しているのでしょうが、とは言え別にジャッキー・チェンやトム・クルーズみたいにノースタントじゃなければ駄目というわけでもありませんので、つまりハリソン・フォードは凄いのでございます。

私が事あるごとに話題に引っ張り出してくるリーアム・ニーソンですらまだ71歳ですから、それを考えたらハリソン・フォードが如何に尋常ではないかが分かると思います。

とりあえずリーアム・ニーソンも、80歳を超えた10年後も今と変わらず人身売買組織と激しく戦っていてほしいなあと思う今日この頃でございますよ。

ともあれ、それではお次の話題に移るとしましょう。

お次は面白かったアクションシーンについてですけれども、私が一番面白かったのはトゥクトゥクでカーチェイスするシーンですよ。

モロッコの狭い道が複雑に入り組んだ街を爆走するトゥクトゥク。

悪い連中からの銃撃を掻い潜るトゥクトゥク。

そしてえらく急な階段を転げ落ちるトゥクトゥク。

私の中には今まで存在しなかったトゥクトゥク像が次から次へと音を立てて構築されていくようなシーンの連続でございました。

トゥクトゥクってあんな走りもできるんですねえ。

あんなものを見せられたら、もはや「ワイルドスピードの次回作は主にトゥクトゥクが爆走する」とか言われても信じてしまいますよ。

マジで凄いですから、トゥクトゥク。

トゥクトゥク以外にも、インディ・ジョーンズらしい仕掛けに満ちた危なっかしいダンジョンや

さて、そろそろトゥクトゥクがゲシュタルト崩壊してきつくなってきましたし、長くなってきたので最後の話題に行きましょう。

上の方でアルキメデスが登場するとありましたが、最後はこのお話で締めくくるとしましょう。

物語の鍵になってくるダイヤルですけれども、これは時空の裂け目を発見するためのダイヤルということでした。

そして終盤、遂にダイヤルを完成させたナチスの博士がダイヤルを起動してしまうわけでして、当初博士はナチスの時代に戻ってドイツを戦争に勝利させるためにタイムスリップを試みるわけですが、しかしどうしたわけかタイムスリップした先は紀元前のシラクサ包囲戦の真っ只中。

古代の戦争の真上を飛行する第二次世界大戦時のナチスドイツの輸送機、第二次世界大戦の時代と言うには明らかに昔すぎる光景を目にした機内は大混乱、そして上空に現れた鋼鉄のドラゴンを前にした地上も大混乱でございます。

そしてあれよあれよという間に古代人たちによって輸送機は撃墜され博士とその他ナチス残党は全滅し、間一髪のところで地上にパラシュートで降りたインディ・ジョーンズと、いろいろあった挙句和解して彼を助けにやってきた旧友の娘は、そこで遂にアルキメデスとご対面でございます。

そして明かされたのは、このダイヤルはアルキメデスが救援を未来から呼ぶために作ったという事実。

これはロマンが満載過ぎてもはや過積載を疑うレベルですよ。

アルキメデス、いくら天才とは言えさすがにやり過ぎなんじゃあないですか、その発明は?

というわけでして、ナチスと冒険家の小競り合いから始まったこの冒険劇は、遂には2000年もの時を越えてシラクサの地で決着を迎えたというわけでございます。

壮大すぎるスケールに脱帽ですねえ。

さて、さっきはこれが最後の話題と書いたような気がしないでもありませんが、今新しい話題を思いついたのでもう1個書きます。

もう読むのに満足した人は、とりあえず下までスクロールしたら「おしまい」と書いてあるはずですので、それで読み終わったことにしといてください。

ともあれ、ここで気づいたのは、設定の面白い仕掛けについでございますよ。

本作の主な舞台は1969年の8月頃、アポロ11号の月面着陸に全米が狂喜乱舞し人類が宇宙に足を踏み入れたさらにその先にある遥かな未来に想いを馳せる中、インディ・ジョーンズは考古学教授として、あるいは冒険家として過去と向き合い続けるわけでして、そして遂には本当に過去にまで行ってしまうという、一人の男が文字通り世界と逆行するお話でした。

そしてタイムスリップした終盤では、行き場の無い自分の未来に対してやけくそな気持ちになり、それならば人生を賭けて探求してきたアルキメデスの時代に残ろうとしたりもしたものの、結局はほぼ強制的に自分の元の世界に戻され、しかし最後は希望を見つけ未来に歩み出すというような、過去を見つめ続けた男の未来を感じる終幕でございました。

この設定から想像できるのは、過去と向き合うことで見つかる未来もある、ということかもしれませんねえ。

さて、なんかいい感じのことを言えたような気がいたしますので、ここらで本当におしまいにしましょう。

というわけでして、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』、息を呑むような冒険とファンタジーの入り混じった壮大なロマンのオイニーがむんむんの冒険アクション超大作でございました。

おしまい。