先日は『SISU/シス 不死身の男』という映画を観てまいりましたよ。
舞台は第二次世界大戦末期のフィンランド、掘り当てた大量の金を運ぶ道中の主人公がナチスの戦車隊に目を付けられてえらく酷い目に遭いつつも激烈に反撃してぶちかますという内容のアクション映画でございます。
さて、何はともあれこれだけは言っておこうと思うのですけれども、主人公の名前は「シス」ではない!
上映開始直後の字幕で「『シス』とはフィンランド語で不屈の精神のような意味を持つ言葉」というような紹介があり、まずはそこで仰天しましたよ。
シスって主人公の名前ではないのか!
『PATHAAN/パターン』の主人公はパターンだったし、『M3GAN/ミーガン』ではミーガンが登場、ならばこの流れで絶対に今作の主人公はシスだと思っていたのに、シスではないっぽい。
いや待てよ、よく考えたら『PATHAAN/パターン』の「パターン」はパシュトゥーン人を意味する単語であると同時に主人公の名前でもあったことですし、もしや本作もそれと同じ流れで不屈の精神「シス」の名を持つシスという人物が主人公なのかもしれない。
ともあれそんなこんなで主人公の名前についていろいろ考えつつ観ていたら、途中で遂にその名前が明らかになりました。
アアタミ・コルピ、これが主人公の老人の名前でしたよ。
やはりシスではなかったか。
ちなみにシスについてですが、鑑賞後に公式ページを読んでみたらこのように書いてありましたし、また主人公の名前も紹介されておりました。
主人公の強さの源であり、彼の魂の中心にある“SISU”は、翻訳不可能とされるフィンランドの古き良き精神。あえて言うならば、想像を絶するほどの意志の強さ、何があっても折れない心。
私は映画の鑑賞前にそういう情報をほとんど調べないのでまったく知りませんでしたねえ。
さて、もはや主人公の名前だけでこの記事もかなり引っ張ってきてしまいましたが、まあ内容もえらくとんでもない感じでしたよ。
「不死身の男」というタイトルに偽りのない不死身さでした。
このアアタミとかいう老人、どんな目に遭っても死なないんですねえ。
それどころか逆に、追手のナチスの連中に死をもたらしている。
兵員輸送車を引き連れた戦車部隊をナイフとツルハシを駆使してたった一人で撃滅しますから、恐ろしい男ですよ。
問答無用のトンデモアクションの数々に圧倒され笑うほかない。
『RRR』ではついさっきまで足を怪我して肩車されないと動くこともままならなかったようなやつが、次のシーンではいきなりそこらじゅうを飛び回って弓矢をぶちかましまくっているような展開がありましたけれども、そんな感じの荒唐無稽が延々と続くわけですよ。
いたってシリアスな内容のアクション映画なのに、展開が展開だからどうしても面白くなってしまう。
しかも、主人公が敵をぶちのめすそもそもの動機が「奪われた金を奪い返すため」ですから、その動機と常軌を逸したタフネスとアクション、そして執念深さとが相まって、どうしても両津勘吉が脳裏に浮かんでしまう。
シリアスな両津勘吉。
ともあれ、とりあえずこの作品を観れば「シス」という言葉が一体どういう精神を言い表しているかがなんとなーく分かるかと思います。
要するに、お金を追っかける両津勘吉のような不撓不屈の精神ってことでしょうねえ。
というわけでして、鑑賞後はなんだかとんでもないものを観てしまったという気持ちになれる狂気じみた映画でございました。
フィンランドもなかなかいかれた映画を作りますねえ、気に入った!!
おしまい。