ウサオジという男、『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』を観る

先日より連日の如く映画館に押しかけ鑑賞を続けている『熱風!!南インド映画の世界』というインド映画の企画でございますけれども、これで3作目、遂に折り返し地点でございます。

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3作目は『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』でございます。

これすっごいですよ!!

まさに『熱風!!南インド映画の世界』を飾るにふさわしい、太陽のように常軌を逸した桁違いの圧倒的な熱量を誇る熱気むんむんの映画でございました。

こんな熱さは『RRR』以来ですねえ!

言うなれば『RRR』から友情要素を取っ払って、延々とイギリス人と殺し合いをしているようなえらく血生臭いアクション映画でございました。

観ていてとにかく血が沸き立つという点では『RRR』と同じかそれ以上ですけれども、とっつきやすさという点ではどことなく少年漫画のようなノリのある『RRR』の方が上だと思いましたねえ。

本作はとにかく陰惨で殺伐としている。

さて、本作の主なお話は1840年代にナラシムハー・レッディという人物がイギリスに反乱を起こすというものでございます。

民衆に次から次へと重税を課しては作物を収奪し、インドの土地を我が物顔で踏みにじる悪逆非道のイギリス野郎どもに地方の領主ナラシムハー・レッディが立ちはだかりぶちのめす、とにかく血の沸き立つような熱い映画でございます。

イギリスとの戦いにおいては、途中でインドの領主同士の反目や裏切りもあったりと、なかなか一筋縄ではいきません。

しかしナラシムハー・レッディは例え一人でもイギリスの圧政に立ち向かい、民衆を奮い立てるのですよ。

その勇猛果敢な姿に思わず「サイラー!!」と叫び声を上げたくなること間違いなし。

ちなみに、タイトルにもあるこの「サイラー」ですけれども、字幕まで「サイラー」で表記されているのであんまり意味は分からんかったのですが、しかしとりあえず使われているシーンから考えるに、「ぶちかませ!」とか「万歳!」みたいな意味の戦いに挑むときや勝利したときの威勢の良い掛け声として使うものなんだろうなあと思いました。

こういった外国語独特の雰囲気を味わうのも、異国の映画の醍醐味ですねえ。

ともあれ、そしてその反乱は徐々に領主の間にも広がり、徐々に悪の帝国イギリスを圧倒し始めるわけでございますが、しかしイギリスもただで退くようなお人好しではありませんからいろいろと姦計を巡らすわけでして、さあ我らがナラシムハー・レッディとその戦いの運命やいかに、といった感じで目が離せませんでした。

本作で一番迫力があったのは、だだっ広い平原にてナラシムハー・レッディ率いるインドの民衆とイギリス軍が真正面からぶち当たるシーンですねえ。

両陣営それぞれ数百数千の人間が激しくぶつかり合う、とにかく激烈なシーンでございました。

分かりやすく言うなら、邦画の戦国時代の合戦のシーンを物凄くデカい規模でやってるような感じですよ。

剣はぶつかり合い、小銃、大砲、弓矢が雨あられと降り注ぐ、地獄のような景色でございます。

また他にも、ナラシムハー・レッディは史実の通り作中でも処刑されるわけですが、この処刑シーンもとにかく物凄いので最後まで気が抜けません。

とにかく何から何までサイラーな展開が目白押しのインドの熱気がむんむんするような桁違いのアクション映画でございました。

さてところで、本当にどうでも良いことではありますが、本作は今までに私が観たインド映画史上最も登場人物の区別がつかない映画でもありました。

と言いますのも、登場人物の男の出で立ちがどいつもこいつも似ているのですよ。

この点においては、あの『K.G.F』シリーズですら遠く及びませんでして、本作に至っては主要登場人物の男が全員揃いも揃ってモジャモジャの髪に髭、そして鋭い眼光という特徴をしているのでございますよ。

『K.G.F』みたいに鋭利なモミアゲとかいませんでしたからねえ、全員モジャモジャですよ。

辛うじてナラシムハー・レッディだけはその桁違いの目力と男臭さで際立っておりましたけれども、それ以外の人物があまりにも似通い過ぎて途中で誰が誰だか分からんくなっていたということは正直に申し上げねばなりません。

ともあれ、この映画を観終わった後には、何はなくとも「サイラー ナラシムハー・レッディ!!」と馬鹿でかい声で叫びたくなるのは間違いなし。

とにかくナラシムハー・レッディがサイラーな熱気むんむん映画でございました。

サイラー ナラシムハー・レッディ!!

おしまい。