ウサオジという男、『65/シックスティ・ファイブ』を観る

この前の日曜は『65/シックスティ・ファイブ』を観てまいりました。

www.65-movie.jp

地球ではないとある惑星に住む人類に極めて酷似した生命体が、他の惑星探査のために宇宙船に乗っかって宇宙旅行をしていた折、隕石群と衝突して6500万年前の地球、地球上から恐竜を絶滅させた原因とされる小惑星の衝突前夜の地球に不時着してしまうというあまりにも不運な映画でございます。

しかも不時着した宇宙船の乗員で生き残ったのは、宇宙船操縦士のオジサンと少女の2人だけ。

そして生き残るために2人は、不時着時に遠くに落っこちてしまった脱出用の小型宇宙船を目指して移動を始めるわけですけれども、その道中で6500万年前の地球の過酷な環境と戦うことになるのですよ。

その脅威の主だったものは恐竜でございまして、獰猛な肉食獣が2人を餌食にすべく四方八方から襲い掛かってくるのですよ。

というわけでして、言うならば、ジュラシックパークを物凄くホラーな感じにしたような映画でしたねえ。

去年観た『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』も怖いところもありましたが、総じてエンタメ色が強めだったのでアトラクションのように楽しめましたけれども、本作の方はどちらかというとホラー映画のような趣でございました。

嫌な汗がじんわりと背筋を伝う感じですねえ。

あるいは、ゾンビ映画のゾンビを恐竜に置き換えた映画、と言えば分かりやすいかもしれません。

アドベンチャーというよりはサバイバルでございます。

また、そういった極限の環境で、最初は言葉も通じなかった2人が徐々に心を通じ合わせていく過程や、2人それぞれの心境の変化も見所のひとつだったように思えます。

操縦士の男、彼の名はミルズというのですけれども、このミルズという男は最初、自分以外に生存者もなく宇宙船も再起不能の状態になったことに絶望し、手元に残された銃で自殺を試みるのですよ。

しかしそれでも、すんでのところで思いとどまって生き残るための方策を練り始めるのですよ。

その途中で、コールドスリープポッドごと宇宙船から放り出されていたコアという名の少女を見つけ出し一緒に行動するようになるわけですが、最初はやっぱりコアの方もあまりミルズに心を開かずぎこちない感じなのでございます。

しかし、その後一緒に脱出船を目指して移動する中で徐々にその関係も変わっていくのですが、ところがどっこい、打ち解けてきたところで今度は「脱出船のところへ行けば家族に会える」というミルズの言葉が嘘だったことがバレてしまい、2人の関係は悪化してしまうんですよ。

とは言え、ミルズが絶望の淵からギリギリのところで立ち直ったように、コアもまた絶望を乗り越えて立ち上がるわけでして、ここは間違いなく熱気むんむんでしたねえ。

というわけでして、人間の強さや逞しさを感じるとともに、絶望の中にあっても一歩前に進む強さを伝えているような映画だったと思います。

この作品の主な登場人物はミルズとコア、そしてミルズへのビデオメッセージで登場する母星に残してきたミルズの娘くらいなのですけれども、たった3人の登場人物しかいないからこそ彼らの人間関係が際立つような印象的なお話でした。

隕石による大量絶滅寸前の地球でのサバイバルという設定も斬新でしたし、期待以上の映画でとても面白かったです。

おしまい。