『シャクラ』という映画を観てまいりました。
ストーリーはと言いますと、舞台は宋代の中国において、主人公である喬峯という武術の達人が身に覚えのない殺人事件の犯人に仕立て上げられ、武術の組織を追放されるところから始まるのでございます。
そしてそこから喬峯はこの濡れ衣を被せてきた黒幕を探るべく行動に出るのですけれども、その道中では喬峯の出自の謎や様々な因縁も明らかになってくるのでして最後までドキドキしながら観ておりました。
しかしながら、登場人物が多くしかもやたらと難しい名前ばかりだったことに加え、当時の中国史にもあまり詳しくないので割と難しい内容だったことは否めません。
とは言え大まかな流れ、要するに結局誰が黒幕で動機は何だったかといったところはしっかり分かりましたので、まあそれが分かれば十分でしょう。
また本作はカンフー映画ですので、襲い掛かってくる敵をカンフーで薙ぎ倒すところも圧巻でございました。
これのカンフー物凄いですから、本当に。
武器や徒手空拳による格闘に加え、驚異的な跳躍力をはじめとする超人的な身体能力やら衝撃派やらのトンデモ能力も出てきて物凄く派手でしたよ。
しかも挙句の果てにはファイアマリオよろしく両手から炎を吐き出す坊主、いわゆるファイア坊主まで出てきまして、もはやカンフーとファンタジーを足して2で割ったような怒涛のアクションが楽しめる様子でございました。
このファイア坊主のシーンは本当に面白くて、さっきまで主人公と素手や武器を使って格闘戦をしていた坊主がいきなりここぞとばかりに両手から炎を放ちますから、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑ってしまいましたねえ。
ファイア坊主の他には、喬峯がかつての仲間たちと決闘をする前に縁を絶つための杯を交わす儀式をするシーンがあったのですけれども、その場にいた口だけ達者なザコのチンピラみたいなよう分からんぽっと出のオッサンが手下に唆されて「おう、その儀式俺もやったるわ!悪く思わんといてな」みたいなノリでいきなりしゃしゃり出てきて、自分だけ勝手に一杯飲んだと思った刹那、案の定喬峯に一撃で瞬殺されるシーンが阿呆にもほどがあって面白かったですねえ。
このシーン、本来は喬峯が互いに兄弟と呼び合うような間柄だった仲間と血で血を洗う戦いを始める直前の物凄くシリアスなシーンなのですけれども、あのよう分からんオッサンの飛び入り参加で台無しでございます。
本当に、何だったんだあのオッサン。
ともあれ、その阿呆のオッサンがなすすべもなく瞬殺されてから1対たくさんの死闘が始まるわけでしてこの戦いは熾烈でございました。
一応念のため言っておきますと、この阿呆のオッサンのシーン以外は全編に渡ってシリアスな映画でしたので、これは決してコメディ映画ではないということはここではっきり言っておきますよ。
あのオッサンがとんでもないだけでございます。
とは言え、多分この記事で一番紙面を使っているのは間違いなくこの阿呆のオッサンについてですから説得力があまりないような気もしますけれども、まああのオッサンの一世一代の命懸けの一発芸を映画館で観て笑ってやろうではありませんか。
身の程知らずのオッサンに大分紙面を割いてしまいましたけれども、作品全体といたしましてはシリアスで重厚な内容でして、様々な人物の思惑と因縁とが絡み合う非常に複雑で鑑賞し甲斐のある作品でございました。
ところで、どうも本作は原作の小説があるのですけれども、しかし残念なことに、これの原作はもう日本では絶版になっており入手が困難らしいのですよ。
電子書籍があるかと思ったら、それは中国語の原著でございましたので、日本語版も電子書籍化してほしいところでございます。
また原作は非常な長編でして映画ではその一部が再現されているとのことですから、続きも映画化されたら嬉しいなあと思う次第でございます。
おしまい。