今日はフレデリック・フォーサイスさんが書かれた『ザ・フォックス』 という小説が非常に面白かったのでご紹介します。
めちょめちょてきとーに要約するなら、イギリス人の天才ハッカーとこれまたイギリス人の熟練スパイが協力して敵国にやんややんやとハッキング攻撃を仕掛けていくという、つまり良い子はマネしちゃいけません的なお話でございます。
攻撃された敵国は怒り狂ってその天才ハッカーを始末しようと刺客を送り込み、一方でイギリス側はその天才ハッカーを守りつつも敵国にハッキング攻撃を仕掛けるという、非常にスリリングな内容でした。
現実世界とサイバー世界の2つの世界で国家間の熾烈な戦いが繰り広げられるのです。
アナログの時代を生きた老練なスパイがデジタル時代の申し子とも言えるハッカーと組んでやんややんやとやってやるという、絶妙な組み合わせでございます。
そしてこれが実にうまい組み合わせでして、デジタル技術には疎いが敵を出し抜く技術にめっぽう強いスパイと、アスペルガー症候群のためにうまく現実世界に適応できない一方でハッキング技術においては右に出るものがいないほどの実力を持つハッカーでして、お互いに相手の長所短所を補っているのです。
まさに適材適所、であります。
さて、そんなこんなでこれを読んでまず思ったのは「とんでもない世界を覗いてしまったなあ」ということでございます。
私がこんな感じの凄まじい内容の小説を読んでいる理由のひとつは、こういったとんでもないぶっ飛んだ世界を覗くことが楽しみだからでありますが、これは最近読んだ中でも飛びぬけて凄いと思いました。
あとがきではそのジャンルを「国際謀略小説」と紹介されていましたが、まさにその通りで国家間の謀略合戦が描かれているのです。
これは物事をシンプルにねじ伏せる火力のお話ではなく、どちらがよりずる賢いかを競う知力の戦いなのであります。
あるいは「力を知恵で凌ぐお話」と言った方がより正確かもしれません。
まさに狐と狸の化かし合いでございます。
そう言えば、この著者の作品は他にも『キル・リスト』というものを読んでおりまして、結構前に読んでいるので記憶があやふやですが、こちらもそういったずる賢い要素が強かったような気もします。
この『キル・リスト』もハッカーを活かした作戦を描いた作品でして、こちらは国家ではなくテロリストを相手に戦うのです。
『ザ・フォックス』と構成が微妙に似ておりまして、引きこもりのハッカーとスパイが協力してとあるテロリストを始末しようと追い込んでいくスリリングな内容なのでございます。
さて、これ以上書くと間違いなく話が脱線するのでここらへんでやめておきます。
何はともあれ、『ザ・フォックス』は非常に面白い作品でした。
おしまい。