先日、訪問販売に出くわしてしまいました。
あるいは、もしかしたら詐欺に出くわしたと言った方が良いかもしれませんねえ。
と言いますのも、その詐欺師の訪問の時間が通販の配達予定時間と被っていたものですからついうっかりインターホンに対応してしまったのですが、そもそもそれが間違いの始まりでありました。
聞くところによるとどうやら電力の契約絡みのやつでございまして、もしかしたら何か契約上の問題でも起きたのではなかろうかと思ってしまったのでございますが、落ち着いて話を聞いてみると違いました。
要するに今の私の契約が割高だとか何だとかで、新しい契約に切り替えれば安くなるとかなんとかとやたらめったら捲し立ててきたのであります。
丁度紅茶を淹れていた折に来たもんですから、話を聞きながら、契約するつもりはないし淹れた紅茶が冷める前にさっさと帰ってくれんかなあと思っていたのですが、とにもかくにもしつこく「安くなる」とか「数分で終わる」とか言ってきやがったのでして、面倒ったらありゃしない。
というわけでして、そんなに安くなるんだったら契約プランの資料見せてくださいよ、と私は申し上げたのですが、ペーパーレスがどうのこうので資料はないとか言ってくるし、挙句切り替えに必要だとかで現在の電気の契約情報を教えろとせがんできたのでございます。
私の知らないところで、ペーパーレスも行くところまで行って遂に資料レスになったのでございましょうかねえ。
これが噂のDXってやつですか、驚愕の驚くべき驚きでございますよ。
ともあれ、そんなこんなで堂々巡りをするのにも飽きてきたし、さすがにそろそろ紅茶が冷めるのが本気で心配になってきたこともあって、じゃあもう契約したくなったら後で電話するから名刺くださいよと申し上げたのでございます。
そしたらまた何分か「2,3分で済みますから」とか「お得なんです」とかなんだとか言ってきて押し問答を繰り返したのですが、私もゴネまくって遂に名刺を勝ち取ってきた次第でございます。
最後はもう相手も疲弊してきて営業マンらしい朗らかな感じはなくなってなんか横柄な態度になっていたのは秘密でございますし、紳士的なジェントルマンであることで名高い私もちょいとガラが悪くなっていたのも極秘でございます。
いくら紳士と言えども、さすがに限度ってものがあるのでございます。
途中あまりにも鬱陶しくなってきたので、あともう少しで「立ち去るか死ぬか、今ここで選べ!」と言うところでございましたよ。
ともあれ、そんなこんなでこの茶番が終わった後に出てきた会社名とかをインターネットでちょいと調べてみたのですが、どうやらやっぱりあれは詐欺だった可能性が高いとのことでした。
というわけでして、これをお読みの読者の皆さんも、やたらとしつこく契約をせがむ胡散臭い訪問販売の詐欺師にはお気を付けください。
是が非でも契約させようとするやつが来たら、これはもう完全に詐欺でございますよ。
ところで、念のため申し上げておきますと、淹れた紅茶はぬるくなっておりましたし、紅茶と一緒に食べようと思ったスコーンも冷え切って古代の遺跡から出土した遺物みたいにボロボロになっておりましたよ。
食べ物の恨みは怖いのでございます。
おしまい。