今回はフレデリック・フォーサイスさんの『アヴェンジャー』という小説を読みましたので、それについて書いていきます。
日頃よりこのウサオジのブログをご愛読いただいている方ならば気づいたかもしれませんが、以前読んだ『ザ・フォックス』と同じ著者の作品でございます。
『ザ・フォックス』はハッキングをテーマにした作品でしたが、『アヴェンジャー』は大きな声では言えない闇の仕事のお話でございます。
さてあらすじについてですが、1995年のボスニアにボランティアをしに行った一人の青年がいたのですが、そんな彼が突如として消息を絶ってしまうのです。
そしてその青年の祖父は躍起になってその詳細を知ろうとするのですが、やんややんやとあって時は過ぎて2001年、孫がとんでもない悪党にえらく残虐な方法で殺害されたことを知るのです。
そしてまた青年の祖父はある仕事人のことを知ったのでして、孫を殺した犯人をひっ捕らえることをその仕事人、通称アヴェンジャーに依頼したのでございます。
というわけで、依頼を受けたアヴェンジャーはそのターゲットの捜索を始めるのですが、ターゲットはあるときからふっと消息を絶っているのでして、その足跡を追うところから始まるのですが、そうこうしているうちにある陰謀に巻き込まれてしまい・・・
といった具合です。
上巻では祖父がアヴェンジャーに仕事を依頼するところまでを描き、下巻ではいよいよアヴェンジャーが仕事に取り掛かるところから始まるのです。
そして特に下巻では、アヴェンジャーはターゲットがこもっている難攻不落の要塞の攻略を企てるのですが、このシーンがなかなか面白かったのでございます。
何がどう難攻不落なのかは伏せますが、そんなところにアヴェンジャーは単身乗り込み、ターゲットの拉致を企てるのでございます。
さてここで問題となってくるのは、ターゲットを拉致するというところでありまして、ターゲットを暗殺するのではなく生かしたまま連れ帰る、といったところがミソなのでございます。
敵陣の真っただ中、何人もの護衛に囲まれたターゲットを如何にしてひっ捕らえるのか、なかなかの見物でございました。
『ザ・フォックス』の記事でも書きましたが、「力」というよりは「知恵」というような、まさに謀略の世界でございます。
これぞスパイ小説の醍醐味、と言わずにはいられませんでした。
さて、こういったアクションの要素以外にもこの小説はいろいろ面白いのでして、各々の登場人物の描写だったり人間関係だったりが無駄なく丁寧に描かれておりまして、そういった部分の作りこみもこの小説を面白いものにしているのでございます。
というわけでして、『アヴェンジャー』、非常に面白い小説でございました。
ちなみに、これの続編として『コブラ』という麻薬戦争を取り扱った作品がありまして、そこで再びアヴェンジャーが活躍するのですが、これの話をすると長くなりそうなのでそちらはまた別の機会に書こうと思います。
おしまい。